岳沢アイスクライミング
けっこう山をやってる人でも知らない人が多いマニアックな世界
トポによると、「高度差1,100mを一気に突き上げる国内では屈指のスケールのビッグルートの一つ、体力に加え精神力が求められる。」となっている。
大きな山行の前にはナーバスになることがあるんだけど、今回はけっこうナーバスに…
DAY1
7日夜に家を出て仮眠をとりながら集合場所の柏木駐車場に到着
ここに僕の車を置いてTさんの車で大曲駐車場へ
ここからゲートは閉ざされているので三峰川沿いの林道を歩くことになる。

5時頃に出発し、丸山谷出合に着いたのは6時半頃でここから南沢に入る。

営林署に着いたのは8時過ぎだった。
しばらくガレた沢を詰めると9時半頃に滝が見えてくる。

ここは分かりにくいが左側に赤テープとトラロープがあり、それを頼りに進む。
そこから先は赤テープがあったが、倒木等が多くかなり苦労する。

岳沢乗越を越え、岳沢出合へたどり着いたのは11時半頃
岳沢F1手前の小さな滝は釜が抜けており、右側から巻くがけっこうきわどい。
F1に着いたのは13時半頃だった。
傾斜はゆるく問題なく、続くF2も小さな滝だ。

そして16時頃、F3が見えてくる。

F3は西日を浴びて氷結がゆるそうだったので、空身でリードし荷物を引揚げる作戦で越える。

そして、今日はここでタイムアップ、F4手前のきわどい場所にテントを張る。
DAY2
7時に行動開始
朝一でF4を登るが、下部が急傾斜でかなりキツい。
腕がすぐにパンし手が痛くなり辛かった。
F5はほぼ埋まっている。
F6はⅢ級程度で問題なし、F7も埋まっている。

そしてF8ソーメン流しの滝に着いたのは10時半頃だった。
全長110m(50+30+30)とあるが、50m部分は雪で埋まっていた。
2ピッチ目は下から見ると傾斜は緩そうだったが、3ピッチ目は立っていた。
まずは荷物を背負ったままTさんが登る。
すると、ピッチを切るかと思っていたが、そのまま60mロープいっぱいで登り切ってしまった。
正直、ありがたかった。
「俺が登る!」というより無事に通過したかった。
F9はゆるく、これで登攀終了
12時半頃であった。
F9以降、1つめの二股を右へ出て、2つ目を左へ入り大千丈の西尾根に出る。

しかし、ここから大千丈までの詰めるのが困難を極めた。
緩い雪を踏抜く度に体力を奪われる。
やっとの思いで大千丈に抜けたのは16時頃であった。

快晴で風もなく最高の展望の稜線なのだが、それを楽しむ余裕がない。

そして、この日は千丈岳直下の3,000m付近にテントを張る。
DAY3
日の出前の稜線を歩く。

モンブランを思い出す。

そして、日の出前に仙丈ケ岳到着

そこからは6時間をかけて地蔵尾根を下り柏木駐車場に帰る。

振り返ってみると、体力的にも精神的にもギリギリだった。
天気に恵まれたので良かったが、ちょっと悪くなっていたと考えるとかなり厳しい。
撮った写真の少なさが、いかに余裕がなかったかを物語る。
国内にテクニカルなルートは他にもたくさんあるが、ビバーグ用具一式を担いでの登攀を強いられるルートは他にあるのだろうか。
ただ、個人的に体力、技術、経験とも充実した年齢で、仲間とのチーム力も高まっているこのタイミングでどうしても挑戦してみたかった。
It was sort of dangerous,but it was worth it.
この山行で得た経験と自信には、僕にとって相当の価値がある。
ただ、もう一度行きたいかと問われると、答は「NO」である。
次からは楽しめる山に行こう!
“岳沢アイスクライミング” への1件のフィードバック
岳沢完登、おめでとうございます。T村T代・モンブランコンビが板についてきましたね。
ソーメン流しは一度登りたい名アイスルート。大仙丈に抜けるのも魅力的ですね。
荷揚げもうまくいったみたいで…。あ~。うらやましい~。
いつ行けるか分かりませんが、またご一緒させてください。
Yone