日時 | 2024年9月21日(前泊・日帰り) |
山域 | 廻り目平キャンプ場(小川山) |
参加者 | Y澤、K田夫妻(D地、K子) |
日程
9月20日 | 集合(2100)Y澤邸発 === 豊田東IC===新東名・中部縦貫道・中央道===須玉IC === 道の駅南きよさとにて車中泊(2500) |
9月21日 | 起床、道の駅南清里発(0530,0600) — 廻り目平キャンプ場発(0700,0720) — 屋根岩1峰(0800) — 2峰(0915)—3峰(1030)—3.5峰(1200)—4峰(1400)—5峰(1500)—4峰と3.5峰のコル(1630)—廻り目平キャンプ場(1740,1800)===川上村ヘルシーの湯(1830,1940)=== 長坂IC ===中央道・東海環状 ===Y澤邸着(2400)解散 |
日誌
前日の夜に出発。K田夫妻がキャンピングカーを出してくれた。先日の阿木川の沢で、豊橋山岳会の方から「豊橋からだと、新東名を中部縦貫道を使った方が小川山は近い」ということを聞いていた。調べてみると、豊田東インターからでは、中央道と新東名、どちらからでもかかる時間は同じくらいで高速料金もそれ程差がないようだ。新東名から行ってみようということになり、太平洋側から富士川沿いに小川山を目指した。新東名は3車線で走りやすいが、中部縦貫道は片側一車線なので、スピードを重視するなら中央道経由の方がよさげ。しかし、車の流れはよかったので、不便さは感じなかった。廻り目平キャンプ場の込み具合が心配で、前夜発にしたものの、深夜はキャンプ場のゲートが開かないかもしれないということで、キャンプ場に一番近い道の駅「南きよさと」で車中泊。さすが、キャンピングカー。寝るのは、快適そのものであった。
当日、睡眠時間は4時間程度であったが、早出で廻り目平を目指す。キャンプ場に近づくにつれ、今回目指す屋根岩の尾根がドカンと目の前に現れる。気持ちが高まる。連休初日であったが、車は意外に少なく、すんなりと駐車することができた。私自身、小川山は約20年振りで、学生の時に前所属していた山岳会の方によく連れて行ってもらったが、そのときと変わらず賑わっていた。準備をして7時過ぎには出発。まずは、屋根岩1峰を目指す。トポどおり進むも、フリークライミングの聖地である小川山は踏み後が多く、どのトレースが正しいか分からない。ルートファイニング(以後ルーファイ)が試される。狭いルンゼを歩いて進むと1峰の頂上らしき岩峰に出た。頂上は狭そうで、懸垂下降できるようなアンカーがない可能性もあったので、登頂は割愛し、木を支点にして、ロープをつないで30mの懸垂。ブッシュ混じりで、ロープが引っ掛からないことを願って引くと、何とか回収できた。ロープが重く、歩くよりも大変な作業であった。
K子さんに先に行ってもらいルートを確認してもらう。トレースがあるということで、次に2峰を目指す。「ワイヤーの垂れたルンゼ」がどこかにあることを信じて進むと、ドンピシャに見つかった。ご夫婦協力し合いながら登ってくる様子が微笑ましい。少し上に上がって小休止。キャンプ場周辺の岩峰の展望に魅了される。2峰からは、たぶんダブルでロープを使うことがないだろうということで、懸垂や登攀はロープ1本。リードを私がして、セカンドがタイブロックでD地さんが上がって、ラストにK子さんというシステム。ラストが上がって来る間に、もう一本のロープでD地さんが懸垂の用意をしてすぐに下れる用意をすることで、時間を短縮した。3峰の中央部ルートはボルトがなく、ナチュラルプロテクション(以後ナチプロ・・・ハーケンやボルトを打たずにカムやナッツ、木を使ってアンカーを構築すること)で進む。「南稜レモン」というルートの最終ピッチから登山靴からクライミングシューズに履き替えて、登攀する。ザレた花崗岩で、御在所のような感じ。ここもカムを使ってアンカーを作って登った。「エビのしっぽの登りは正面から取付く」とトポに記載されていたが、ボルトもなく、ここもナチプロで這い上がる。5.6のルートで難しくはないが、高度感があり、緊張する。先行、後続パーティーもおらず、快適に登っていたが、ここに来てものすごいスピードで、後続パーティーが上がってきた。K子さんがフォローしているときに、クイックドローを落としてしまったが、そのパーティーが拾ってくれたため、何とか回収できた。「エビのしっぽ」からの懸垂は、高度感が半端なく、ロープが届くか心配であったが、何とかなった。下降路は、ちょうど「エビフライ」というクラックのルート(5.9)になっていたが、これをナチプロであがると思うとぞっとした。3.5峰の登りくらいから疲れが出始めた。15時くらいには、切り上げたいと思っていたので、5峰を登ったたら区切りをつけることにした。トポ通りに忠実に登れたこと、ナチプロでのクライミングもだいぶ慣れてきたので、十分満足できた。5峰に着いて、後は懸垂して降りるだけと、少し気が緩む。
5峰の頂上のワイヤーを支点にして懸垂するも、ロープ1本ではとても下に届かない。「ルートを間違えたのではないか?」と、全員が判断して懸垂途中で登り返す。トポをよく読むと、間違えが判明した。危うく尾根の反対側に降りることになってしまうところだった。5峰から降りられそうにないので、一度来たルートに引き返し、5と4峰のコルから下山しようとするが、歩いて下山できそうなところでない。強引に下ればできたかもしれないが、ここは、元来た道に戻るという山の鉄則に従って、懸垂した箇所をもう一度引き返すことした。4と3.5峰のコルには、ルート開拓者のトレースもあり、ここなら下れそうと判断。残置ロープがあったが、最後もう一度ロープを出して短い懸垂をして無事にパノラマコースのトレースへと続く踏み後を発見した。曇りだったせいもあり、16時には、だいぶ薄暗くなっていたが、何とか明るいうちに駐車場に着くことができた。
18時には、キャンプ場を後にし、川上村のヘルシーの湯で汗を流し、夕食にする。川上村はレタスの産地。晩御飯は、地元の野菜を使った手作り感満載の料理がおいしかった。そこから帰路に着き、中央道で岡崎へ向かう。ぎりぎり今日中に岡崎に到着。とても充実した山行になった。
感想
今回、このルートを計画したのは、この岡崎の猛暑からに抜け出し、且つ、それほど難易度が高くないマルチピッチクライミングができないかと思ったからである。7月の終わりのに、私が応援していたクライマー平出・中島氏がK2で滑落された追悼記事が掲載されていた山岳雑誌「ROCK&SNOW」105号を読んでいた中に、今回の「屋根トラ」が紹介されていた。それを読んで、御在所の前尾根の規模を大きくしたような感じがした。そして、このメンバーであれば、行けるのではないかと考えた。雑誌の記録は詳細であったが、いつもルーファイを誤り、適格なクライミングができないという課題が、私の中にあった。また、ナチプロを取りながらクライミングの経験が浅いという不安もあった。CLとしてこの2つを課題をクリアし、メンバー楽しんでくれれば最高の山行になるだろうと思った。
メンバー構成は、当初5人であったが、最終的に3人になってしまった。少しミスはあったが、3人で力を合わせて、協力し合い、ほぼ適格にルーファイができた。雑誌に載っていた本峰までは、たどり着くことができなかったが、楽しくマルチができたことが何よりもよかった。また、天気も味方した。キャンピングカーを出していただいたK田夫妻には、私の計画に付き合ってくれて感謝です。小川山はフリークライミングの聖地。またこの地で、山岳会の仲間とわいわいとクライミング合宿ができたら、いいなあと思う。