240427-28_後立山 鹿島槍ヶ岳 天狗尾根

日時2024年4月27日 ~ 28日
山域後立山・鹿島槍ヶ岳・天狗尾根
参加者Y澤、Y本、元会員(T村)

日程

4月27日岡崎集合発(0300) === 豊田東IC === 安曇野IC(0600) === 大谷原P発(0730,0750)—アラ沢出合(0930)— 天狗尾根取付(0940) — 1700m付近(1140) — 第1クローワール(1430) — 第2クローワール(1600) — 2102m付近(1700) <泊>
4月28日起床(0400)—幕営地発(0600) — 第2クローワール終了(0800) — 第1クローワール終了(1240) — アラ沢出合(1345,1410) —大谷原P着(1530) === 薬師の湯(1600,1700) ===(1800,1900)<食事> === 安曇野IC(1910)=== 豊田東IC(2110) == 岡崎着(2130)<解散>

日誌

27日(土)天気 曇り時々雨

週間天気では雨予報であったが、何とか天気は持ちこたえて、最高の天気となる。事前にウエブでの岳連の遭難対策対策協議会に参加予定であったが、連絡が取れなかった。どうなっているのか?まあ、気にせずに現地へ。T村さんがヘッドランプを忘れたということで、信濃大町のワークマンが7時から開店するという情報を知り、ちょうどよい時間に信濃大町に着く。開店前に時間があったので、店の駐車場でパッキング。いつも思うのだが、信濃大町は北アルプスの眺望がすばらしく、本当に素敵な町である。爺ケ岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、白馬岳の残雪の山々がずらりとならび、これからの活動のモチベーションが高まる。大谷原は、先行した車が2台くらい停まっていた。連休初日のせいかもしれないが、ひっそりとした駐車場であった。そこから登山道が反対の川岸に見えるが、いきなり土砂崩れになっていた。行けるか不安になったが、実際は全く問題なかった。砂防工事に使う道路が整備されており、道ははっきりしている。いきなり道を間違え、引き返し大川谷沿いに歩く。

3度、渡渉する

橋を渡るといきなり、小川や道路を横切る。近くに橋は架かっていない。どしょっぱなから渡渉である。ネオプレーンの靴下に履き替え、川にざぶざぶ入り、一気に渡る。渡渉はあることは覚悟はしていたものの、これから何度かあるかを考えると嫌な気持ちになる。3回ほど渡渉を繰り返しながらアラ川の出合に着き、天狗尾根の取付を探す。主だった目印もないが、ガレ場の右側にちょっとした藪まじりの尾根を見つけ、そこから取付く。いきなりの急登。下で登攀の準備をもう少ししていればと思ったが、後の祭り。安定した場所もないので、そのまま一気に主稜線まで上がる。雪の気配が全くない。1700m付近まで上がるとようやく雪が出始める。歩けども、思ったほどの雪はなく、ほどんど藪を漕いで登って、ストレスが溜まる歩きなる。藪のせいで、いつの間にか持参したストックが消えてしまった…。尾根が細くなっても、雪が着いていないために、なかなかスピードが上がらない。途中、雨がぱらぱらし始めたので、雨具を出して着替えると、雨は止み、取り越し苦労になった。今日の核心部「クローワール」はどこなのかを考えながら、高度を稼いでいくと、それらしき場所に着く。核心部なので、一応ザイルで確保を取る。雪は前半少しあるだけで、あとは笹薮の泥壁である。T村さんがトップで難なくクリアーする。続いて第2クローワールは、ほとんど雪がない状態。終了点が確保できない場所のため、緊張感が走る。今度もT村さんがトップで行き、2ピッチで終わる。主稜線に出るのに、深い藪となり、ひどいアルバイトとなった。

第1クローワールをゆくT村さん
続いて第2クローワールを攀じる

2000mを越えても稜線上の雪がほとんどなく、終始藪をクリアーするのにストレスが増す。日はだいぶ長くなってきたのものの、藪から脱出するのに手間取り、17時を越えても天狗の鼻を越えられなかった。目の前に天狗の鼻が見えたが、そこまでの道筋を見ると、雪がつながっておらずまだまだ時間がかかりそうな感じ…。意気消沈。モチベーションも萎えてしまう。これからの行程を考えると、これ以上進んでも楽しめないだろう。また、重たいザックを背負っての登攀もリスクが高い。ちょっと早いが、ここで敗退を決意する。2人とも納得してくれた。

手前が天狗の鼻。左側に見えるのが、荒沢奥壁、鹿島槍北壁。雪がつながっていない…。

ちょっとしたスペースがあり、ここでテントを張って、明日同じ道を下ることにする。下山もなかなか厳しそうだ。今日はテントで気力を高めることにした。

28日(日) 天気 快晴 

 翌日起きると、月がとても綺麗で、快晴を予感させる。きれいな朝日を拝み、再び鹿島槍の北壁と荒沢奥壁をみると、改めて雪が少ないことを認めざるを得ない。気持ちを切り替えて、早々に下山を開始する。途中で、昨日抜かした男女パーティーに遭遇した。これから鹿島槍を目指すのであろうか。我々がロープを出して登ってきたところを平然と登ってきていた。力のあるパーティーなのだろう。第2クローワールの下りは懸垂で降り、50mいっぱいで下に到着する。しかし、ショックなことに、ルベルソ(下降器)をシュルンドの中に落としてしまう。ストックに引き続き、ルベルソまで落としてしまうとは、本当に無念であると同時にこれからの下降のことを考えると不安になる。しかも、全員降りきって、ロープを回収しようとすると、ロープが抜けなくなる。出だしのブッシュに結び目が引っ掛かったのか?残置するわけにもいかないで、T村さんがロープを回収に向かってくれた。結局第2クローワールの下降に2時間近くを要してしまう。その後、第1クローワールでも懸垂、そして取付の急斜面でも懸垂を4回ほど繰り返す。Y本さんに、下降器がなくても懸垂できる「ムンターヒッチ」のやり方を教えてもらいながら、懸垂することができた。

何度も使ったムンターヒッチ。

ようやく取付きのアラ川にたどり着く。ブッシュに引っ掛かったり、自分がマストノットで下降してロープがよじれたりしたせいもあって、ロープがキンクして、また回収に時間がかかる。気が付けば、時間がかなり過ぎてしまい、14時前となっていた。途中、温度を見ると30度をして示していて、まさに夏山の様相であった。川で小休止をし、大川谷沿いに歩く。渡渉はあったが、もはや帰るのみなので、登山靴のまま川に入り、ざぶざぶ渡る。車までなんとかたどり着いたが、なかなかハードな下山であった。

感想

 先週、Y本さんが、穂高の常念に行ったとき、雪がほどんどないということを聞いていたので、もっと北部のエリアであれば、きっと残雪が残っているだろうと安易に考えていたが、大きな誤算であった。また、雪がなくても藪を漕いでいけば、それなりに進めるだろうとも思っていた。しかし、現実はそんなに甘くはなかった。稜線に雪がない状態が、これほど時間がかかり、そして危険な状態であるとは思ってもいなかった。藪漕ぎは時間がかかるので、それをさけようと雪の着いているところに逃げると、薄い残雪に足を踏み抜いたり不安定な雪が剥がれたりしてた。ストレスが溜まり、労力が奪われる。下りも雪がかなり腐っていて、ちょっとした傾斜面もクライムダウンをして降りないと危険であった。今回の山行は肉体的疲労もあったが、どちらかというと精神的疲労が大きかったような気がする。また、かなり温暖化が進み、残雪期の山行を楽しむのは難しいように感じた。次回、同じ場所(山域)に行くとしたら、3月~4月くらいで計画を立てて、再チャレンジしたい。最後に、初日に下山を決意したときにすぐさま了解してくださり、散々な下りをサポートしていただいたT村さんとY本さんに感謝したい。また、今後はもっとトレーニングを積んで、足を引っ張らないようにがんばりたい。

240427-28_後立山 鹿島槍ヶ岳 天狗尾根” への2件のフィードバック

  1. ムンターで懸垂下降の件、教科書的には、カラビナの向きが逆だったかな、と思います。
    ロープがゲートに触れていますが、懸垂で降りるときのロープの流れは、この状態だと安全環が緩んでいく方向になるので、カラビナを左右反転(ゲートが左を向くように)しましょう、という説明だったと思います。
    安環がスクリュー式ではない場合は、あんまり関係ないかもですが、ちょっと気になったのでコメントしました。

    北海道でも思いましたが、それにしても雪がないですね。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください